ノヴ子の旅日記

英語学習やキャリアについて。読んでくれた誰かの役に立っているとうれしいです。

この記事を読んでいると、自身の英語学習に通じるところがあった。
このディテールにこだわったプレーというのはきっと監督の中にこう来たらこう、という高度な定石があって、それを試合本番でも再現できるようにしているのだと思う。

このディテールのある練習をすることで、体格差をもろともしない完璧なプレー、そして緊張感のある練習ができるようになるのだと読んでて思った。

 

英語学習のシナリオで読んでみると、大雑把な練習というのは多読やひたすら問題集を解いている状態。ディテールのある練習は、精読や単語の暗記、間違った箇所の復習といったミスを減らしていく練習に似ていると思う。

両方とも大切なのだろうが、どちらの練習もしないと上達はしない。

長所を伸ばすと同時に、細部にこだわった動き、繰り返しの練習で完璧にできるようにならないとこういう高いレベルでの勝利はないのだろう。

神は細部に宿る。

 

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EJ 
トムの言うように、現代のコーチは数値に基づいたゲームモデルを提示する必要があります。それを練習メニューに落とし込む。2015年W杯に臨んだジャパンはヘッドスタートによって体を大きくし、午前は小さなユニットで練習し、システム、スキルを浸透させる。そして午後はフルメンバーで練習する。ラグビーとバスケットの共通点は、20cmほどの身長差があるならば、それは決定的な差になりかねず、そこを克服するには、ディテールにこだわって準備を重ねていくしかないということです。

TH 90年代、私はトヨタ自動車で国際マーケティンググループの仕事に就いていました。とても印象的だったのは、トヨタの車作りというものが、徹底的にディテールにこだわっていたことです。ドアを閉めた時の音を最小限にする技術や、ハンドルを握った時の感触など、細部にとことんこだわる。これは素晴らしいと思いました。

EJ それこそ日本の産業の特色でしょう。

 

TH ところが、バスケットボールとなると、ディテールが消え去っていたのです。当時の日本男子のバスケは大雑把で、単に5対5のドリルをやっているようなものでした。90年代、アメリカの方がより細かいスキルを重視して試合をやっていましたよ。

EJ 細かいことにこだわる国民性なのに、ことスポーツの指導になるとそれが消えてしまうのは、日本のスポーツの大きな課題ですね。その原因は、どの競技の選手たちも中学、高校時代から長時間練習に慣れていることにあると思っています。

TH 練習に対する集中力を欠きがちですよね。

EJ その通りです。彼らは指導者から課される「根性練習」の中で育ってきています。すると、どうなるか? 選手たちは体力を温存し、配分しようとします。それは人間として当然の反応なのです。ジャパンを率いていた当時、ある練習で選手たちの集中力が散漫だったことがあり、私は「この練習に100%、フォーカスして欲しい。それができたら、この練習を終える」と告げました。そして実際、私はたった2分間で切り上げました。選手たちはキョトンとしていましたよ(笑)。

TH そうした発想は、日本ではあまり見ませんね。

EJ 練習は予定された時間が来たら終わるのではなく、成果によって終わるタイミングを判断するべきです。

TH 私も同じスタンスです。バスケのコーチたちは、Aという練習を10分、Bを5分、Cを3分と刻みがちなんです。まるで時間割のように。私は課題がクリアされるまで続けます。だから、ひとつの練習が予定よりも早く終わる時もあれば、2時間かかる時もある。エディーさんの言う通り、目の前の練習の密度を上げるには工夫が必要でした。

「問題は課題なき長時間トレーニングです」

EJ 私が読んだ記事の中で、とても興味深いものがありました。トム、あなたは選手たちが「ジムラット(体育館のネズミ)」になること、つまり、選手たちがとにかく体育館で練習したがることを受け入れたそうですね。

TH 日本女子バスケのカルチャーとして、とにかく体育館にいて練習することを美徳とする考えがあります。ただし、集中力が散漫になり、決して効率的とは言えない。

EJ 体育館にいること自体が目的になってしまう選手もいるでしょうからね。

TH 実際、いったん選手たちの頭の中からバスケを忘れさせるために、「体育館からひとまず出よう!」と指示したこともあります。でもしばらくすると、なんだかんだいって、みんな自然と体育館に戻ってしまう(笑)。だったら、私もそのカルチャーを受け入れ、体育館にいるのなら、何も考えないでシュート練習をするのではなく、課題を明確にするように伝えたんです。

――面白いのは、おふたりは日本に伝わる長時間練習のカルチャーを否定しつつも、世界のどの国よりも練習をすることで世界を揺るがしたということです。

EJ 問題となるのは、課題なき長時間トレーニングです。今までお話ししてきたように、日本の指導者は長時間拘束することで、選手たちの集中力を奪っているのです。トレーニングでフォーカスするべき点を伝え、ケガを避けるために適切な休養を与えながら、練習の密度を高めていく。チームとしての課題をクリアするためには、それなりの時間は必要になります。

TH 世界一になるためには、やることがたくさんあるわけで、結果的に長時間になっていくんですよ。だからこそ、選手たちはそれに耐えられるフィジカル、メンタルが必要になります。

EJ 単調な練習では選手たちも飽きます。練習を工夫する創造性もコーチには求められます。

TH 私は、コーチングが刀鍛冶の過程と似ていることに気づきました。名刀を作る名工は、鉄を熱し、叩き、冷やし、それを繰り返す。

EJ それは素晴らしいアナロジーですね。

TH コーチは選手たちにプレッシャーをかけ、冷静に振り返ることを繰り返すことで選手たちを成長させることができると思うのです。

トム・ホーバスの「厳しい練習」は、日本人がやりがちな「根性練習」と何が違う? 日本代表を勝たせた外国人“鬼コーチ”が直面した日本の課題 - ラグビー日本代表 - Number Web - ナンバー